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損害の認定

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火災と爆破のプロセスと損害認定のポイント

POINT

損害認定を行なうには、起因となるメカニズム・材料の性質・炎や爆風の流れ等を知った上での判断となります。

火災現象の基本

火災は物が燃える燃焼現象で、熱と光を発生する酸化が進むことである。酸化反応といっても、鉄が錆びる場合も燃焼ではあるが熱は伴わないし、男性は運動量が激しく、女性より酸化が激しいため短命であるとの説もあるが、これも光を伴わない酸化現象(老化)であり、これらは燃焼とはいわない。 燃焼の条件は、燃える物質が存在し、酸素があり、熱源があることである。 それではどのようなプロセスで燃焼するかというと、まず引火点と発火点がある。引火点は炎を伴って燃焼し始める場合をいい、発火点は可燃物を炎なしで加熱した際、燃焼し始める温度をいう。ちなみに木材の引火点は、杉240℃、桧253℃、栂253℃、松265℃、欅264℃で、約260℃で引火する。木材を加熱すると水蒸気が発生し、次に熱分解によりガスが発生し、このガスが一定の空気と混合した時、燃え出すのである。

 
 

火災の発生

火種が存在していても、放熱が勝っている場合はなかなか着火しないが、周囲が何かに囲まれており、蓄熱効果があると火種の勢いは高まり、酸素と混合し、発火する。ダンボールの故紙など、野積のものがよく自然発火するが、これらは水分が蒸発する時に熱を生じ、長時間にわたり蓄熱され、周辺が炭化し、ある時期に発火するのである。

火災のはどのように拡大するか

火災は何かの火種から発生し、可燃物が燃えていくが、多量の煙を発生するため室内は酸欠状態となり、温度は横ばいとなる。この様な状態が続いた後高温になり、窓硝子が割れたり、誰かがドアを開けた瞬間、外気が流入し、急激に燃え上がる。これを「フラッシュオーバー」という。それでは火災と爆発はどのように異なるかというと、火災は可燃物がつぎつぎ燃えていくことで、これを伝播というが、爆発はガスを伴うため、伝播速度が速く、爆風となる。爆発も火源があり、一瞬の内に燃焼してしまうが、髪の毛や障子などの焦げた跡が残ることから、炎は一瞬ではあるが発生している(炎がない場合は破裂という)。この様に火災と爆発の原理は同じであるが、爆発は炎と風・音を伴い、一瞬の内に伝播する現象と位置付けている。

材料の溶融温度により、対象物の受熱温度を知る

家屋のプラスチックの照明器具が変形しておれば、80~100℃の火熱があり、アルミニウムのサッシが溶けていたら、660℃以上の火熱があったと判断する。

材料 合成樹脂 アルミニウム 真鍮 ガラス
融解温度 120℃
80℃から変形
660℃ 1200℃ 800℃~1000℃ 1083℃ 550℃~800℃

煙は酸性か

火炎により多量の煙が発生し、金属製品が酸化反応し、錆が発生する時がある。火災現場で一方向より吹付けた煙により、トタン板等が錆びているが、煙はプラスチック・繊維・木材等で性質が異なり、燃えて出る煙も有毒ガスを含んだものや、松葉を燃やしたような香りのよい物などあり、酸化反応は異なるようである。プラスチックなど石油製品の煙は酸性で錆びるが、木材の煙はほとんど影響はない。

燃焼により建築材料におよぼす変化を読む

 
(A) 木材(柱)
木造建物の軸柱の炭化状態から、使われている材質を知ることができる。一般的に内地材(桧・杉)・外材(栂・米桧)等の区分は柱の表面炭化した炭の状態により、内地材は大きく割れ、外材は小さく割れる。ただ、内地材でも広葉樹(欅、楓栗)などは小さく割れるが、これは杢目で判断できる。また炭にも杢目・節が残っているので、材料の級別も判る。 

 
(B) 鉄骨柱・梁
鉄骨は火災により溶融することはない。(火災の温度800~1000℃ ―溶融温度1200℃)最初、鉄骨の表面には煙のカーボンが付着し 真黒く変色、次にカーボン・塗料・錆止めなどが焼け、茶色くなり変形してくる。更に火熱が加わると白茶色に変色する。カーボンが付着している場合は使用可であるが、それ以上の段階は取替えを要する。 ただ、鉄は変形してもその状態で建築物程度の強度は回復するが、実際には造作設備との整合性で、使用困難である。

 
 上記は、火災事故と爆発事故で必要となる知識の一例です。

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